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「ネットワークビジネス」誌 2001年2月号

新春スペシャルインタビュー ドラゴンに聴け!

表紙(縮小)  扉ページ



特集「体を張る覚悟こそ、リーダーの条件だ」  49ページ

        



      


        
●「リングに上がらなくなると、発想がうかばなくなる」
現役であるとないのとでは、リーダーシップという点ですごく違いが出て
きます。

●「相手の資質を見抜いて、適材適所に配置する」
その人を観察して、最も適した役割を見つけだすようにしています。

●「プロレス界のネットワークを強くしていけば、お客様が喜ぶ試合が
たくさんできると思いますよ。」

●ディズニーランドとプロレスの共通点「いかにして人を楽しませるか」

―――――――――――――――――――――――――――――


●リングに上がらなくなると発想が浮かばなくなる

 ――社長としての藤波さんは、アントニオ猪木さん、坂口征二さんに
続く3代目社長ということになりますが、アントニオ猪木さんの影響力は
今でもプロレス界・格闘技界では絶大です。やりにくい部分はないです
か。

藤波 やりづらいですね(笑)。

――そういう中で、社長としてりーダーシップを発揮しなければならない
わけですが、やはり現場を熟知しているトップレスラーでなければマネジ
メントは難しいのでしょうか。


藤波 プロレスという興行に携わる私たちの業界は、かなり特殊な
部類に人ると思うんです。もともとプロレスラーは自己主張、個性の
強い人間が多いですから、現場、それもメインイベンターを経験した
人間でないと、なかなかうまくいかないんですね。選手の気持ちとか、
いろいろありますからね。



――藤波さんは、今でも現役のレスラーとして活躍されています。現役の
レスラーを続けながらマネジメントに携わるプレイングマネージャーという
のは、かなりしんどいのでは?




藤波 一時の猪木さんもそうでしたよね。本来ならどちらか一方に徹
するほうがいいのかもしれませんが、しかし現役であるのとないのと
では、リーダーシップという点てすごく違いが出てくるものなのです。

自分がある程度体を張っていないと、個性の強い選手はじめスタッ
フを引っ張っていきにくい部分がある。これまでそうだったように、
新日本プロレスでは「強い社長」が当たり前。リングに上がらない社
員たちも、そう思っているんですよ(笑)。







――社風として、完全に根付いてしまっているわけですね(笑)。

藤波 経営を任された当初は、「マネジメントに徹さなければいけな
い」と思って試合数を減らしたり、あるいは引退宣旨までしたのです
が、人生の半分以上の年月をリングに上がってきたわけですから、
リングを下りてしまうと発想がわいてこなくなるんですね。

 さっき申し上げたとおり新日本プロレスは興行会社ですから、
「どういう選手を育てていくか」「どんな選手を売り出していくのか」
といった部分で、自分が一歩引いていたのではわからないんですよ。






――昔取った杵柄で勝負、というわけにはいかなくなる?

藤波 選手というのは、見た目だけではわからないものなんですよ。 




――ということは、極端な話、言葉を交わさなくてもリングで組み合えば
相手の精神状態がわかる、ということですか。



藤波 ある程度の経験が必要ですし、試合中はそんな余裕などあ
りませんけれど、後になってみるとわかることがありますね。よほど
力の差があれば試合中でも読み取ることができるでしょうけれどね。






――藤波さんほどの実力があっても、そうなんてすか。

藤波「5〜 10分闘えば、相手がわかる」っていう人もいますが、そう
いうことは後でいえることで、なかなか難しいですよ。





  ――新日本プロレスが設立される前に、藤波さんや猪木さんは日本
プロレスという団体に属していました。ここからまず、猪木さんが飛び出
して新日本プロレスを旗揚げし、次いで馬場さんが全日本プロレスをス
タートさせていますね。
  その原囚は、選手経験がなく、したがって選手の気持ちもわからない
フロントの存在だったことはよくいわれています。
つまり選手経験がない人間が日本プロレスのマネジメントに携わっていた
わけで、新日本プロレスがプレイングマネージャーにこだわるのは、この
反省を踏まえてということなのでしょうか。





藤波 反省というわけではないのですが、過去の苫い体験を活かし
ている面はあります。
 一般の社員には、選手の気持ちがわからないところがある。でも、
彼らも元々プロレスが好きでこの会社に入ってきているわけですから、
選手がリングに入る前までにできるだけ会場を満員にすることに対しては
並々ならぬ情熱を持っている。
 そのために必要なのは、相互のコミユニケーションだと思います。
この点、今の新日本プロレスは完璧ではないにしてもかなりうまくいって
いると思いますよ。







 ―― よく、蝶野選手がフロントを批判する発言をしています。プロレス
というのは、ある程度見せなければならない部分と真剣勝負の格闘とい
う部分があると思うのですが、フロント批判というのは藤波社長に対する
批判でもあります。




藤波 普通は会社の批判をしたら何らかのペナルティーが課せら
れるわけですが、彼のキャラクターというか、蝶野選手は新日本プ
ロレスの本流とは離れたスタンスを取っているので、それが彼の
売り物というかな。
  我々の業界だからこそ、それができる部分もある。
しかし反対にフロント側から見ると、「どうして会社の悪口を自ら広言
するんだろう」という気持ちがあるかもしれない。

 けれど蝶野選手は、もっと大きな意味で、プロレスが好きだからこそ
批判しているのだということが私にはわかるんですよ。
 私も蝶野と同じ年代の頃に、会社に対する批判を目にしていましたか
らね。むしろそういうのがあるからこそ、会社内にも緊張感が生まれるん
ですからね。
 反対に、みんなが事なかれ主義で批判すら口にしないというほうが、「そ
れでいいのかな」という気になってしまいますよ。







−−建設的な批判ということですね。やはりそれは選手でないと、しかも
トップクラスの選手でないとわからないことがあるのかもしれませんね。
資質を見抜いて、適材適所に配置するということですね。




藤波 そういうことですね。もはや経験豊かなりーダーが強烈に引っ
張るという時代ではないように思えるんですよ。特に興行という点を
考えると、今はすごく変化が激しい。メディアが多様化している事実
だけでも、やはりその部分に秀でた人材を起用していく必要がある
んです。







 ――新日本プロレスの中継は、地上波のテレビ朝日のほかにCS放
送でもやっていて、ケーブルでも見ることができますね。
 昨年12月から始まったBSデジタル放送でもやるんですか。



藤波 ええ、
 12月1日から。さまざまなメディアが出現してくるようになると、
 さきほどの適材適所がますます重要になってきます。
  新日本プロレスは選手の層が厚いですから、メディアごとに出て
 くる選手をかえるということも可能になってきます。
  たとえば「新人なら、このメディア」というふうにね。
 とにかく、これからますます興行的な戦略を練っていく必要性が増して
 くるわけで、社長に就任していちばんにやりたかったのが、メディア戦略
 を担うソフト事業部の立ち上げでした。





――なるほど。今のはメディア戦略の例ですが、ようするに経営の近代
化を図るべきだということですね。



藤波 そのとおりです。確かに選手をまとめるには我々のような
選手経験者が必要ですが、会社経営ということを考えると、ある部分
では私以上に長けている人材がいる。ならば、その分野にその人材
を当て込んでいこう、と。






――ところで、非常に人気のあった橋本選手を最近解雇されましたね。
人間的にも実に魅力があり、おそらく藤波さん個人としては苦渋の決断
だったとは思いますが、やはりりーダーとしてはけじめをつけなければ
ならなかったわけですね。



藤波 彼の場合は現場に出ないのだから、職場放棄というのかな。
橋本は新日本プロレスの大事な商品だし、大きな戦力でもあったの
ですが、だからといって特別扱いすると逆に悪くなっちゃうことがある
わけで、今は本当は切りたくないのだけれど、大局的に考えれば早
めに手を打っておいたほうがいいと判断したのです。つらいですけど
ね。





――話をりーダー論に戻しましょう。猪木さんの話で恐縮ですが、キャラ
クターとして猪木さんは強烈なりーダーシップを発揮していたと思えます。
けれど藤波さんは、猪木さんとは違うキャラクターです。温厚で常識的と
いう印象が強い。



藤波 確かに猪木さんは、会社をぐいぐい引っ張ってきました。わずか
4〜5人でスタートした会社ですから、強烈に引っ張っていかないと生き
残れなかったわけですから。
 しかし、私は自分が会社を引っ張っているという意識はないです。人材
の活かし方というのかな、「この選手は、こういうふうに活かせるな」という
観点で、選手の位置づけを考えることを意識しています。
 これは選手だけでなく、一般社員でも同じ。とにかく、その人を観察して、
最も適した役割を与えるという。




●ディズニーランドとプロレスの共通点

――‐藤波さんの本『藤波辰爾ドキュメントブック無我』の中で、
「プロレスに危機感を抱いている」という一文がありました。
 どのような部分に危機感を抱いているのでしょうか。また、危機管理は
経営的にも重要な問題です。


藤波 「危機感」といっても、プロレスがすぐになくなってしまうという
のではありません。世の中は新しいものにどうしても目が行ってしま
うもの。たとえばそれがK−1だったりするわけですが
「そういうものに対して無関心ではいけない」という意味なのです。
「なぜ、ファンはそういうものに魅力を感じるのか」ということを、レスラー
や関係者は常に意識する必要がある。
  私はもともといろいろなものに興味があって、さまざまなものと自分が
関わっているプロレスとを結びつけるようにしています。
  たとえばクラッシックのコンサートやディズニーランドにもよく出かけます。






――それらとプロレスとの接点は?



藤波 やはり、「いかにして人を楽しませるか」という点ですね。
    ディズニーランドには人を楽しませる仕掛けが随所にあるわけで、
    同じく人を楽しませる仕事である私にとっては大いに参考になるんですよ。





――話は変わりますが、猪木さんのイメージを戦国武将にたとえるならば、
やはり織田信長だと思うんです。ならば藤波さんは、ご自身を誰にたとえ
ることができると思いますか。



藤波 猪木さんは信長でしょうね。私は……う〜ん、誰にも当てはまらな
いんじゃないですか。……強いていえば家康かな。




――その理由は?


藤波 長いスパンで、周囲の状況をよく見て、じっくりと時を待つとい
う部分ですね。信長型のほうが、見ている人はおもしろいんだけどね(笑)。






――まあ、レスラーとしての藤波さんと経営者としての藤波さんは違って
いるわけですから(笑)。 結局、最後に得をしたのが家康だったのですか
ら、経営者としては家康型がいちばんなんじゃないですか。
  それに、信長・秀吉・家康のうち、部下として誰に最も相談しやすいかと
考えたら家康のような気がしますし。
  藤波さんにも、レスラーの方々が相談しにくるケースが多いのではない
ですか。



藤波 ありますね。ただ、彼らの気持ちがわかりすぎちゃうんで、結論を
    出すのが遅くなってしまう傾向があるんですよ。非情にならなけれ
    ばいけないこともあるんですけれどね。







――リーダーは本当に大変ですね。この点では、自分から始まるグループ
   のりーダーであることを誰もが要求されるネットワークビジネスでも同じ
   だと思います。ただ自分と同等の力量を持つ人をグループ内に育てれ
   ば、その大変さが軽減される上にグループも成長します。
   つまりネットワークビジネスの考え方というのは、「いかにして、自分のコ
   ピーをつくるか」ということが基本なんです。企業の経営者、リーダーと
   しても、もし自分の意向を汲んで、そのとおりに動いてくれる人材を得る
   ことができれば心強いはずですね。




藤波  さきほどもいったように、プロレスラーは個性が強いてすから、
     コピーをつくるのは難しいですね。なにしろ団体間の交流戦も
    なかなか実現していないほどですから。ただ、私としては今後はど
    んどん交流していくべきだと考えています。相撲の部屋制のように、
    それぞれの団体は団体として存続しながらも、試合のための共通
    の場を設ける。プロレス界のネットワークを強くしていけば、お客様
    が喜ぶ面白い試合がたくさんできると思いますよ。






――ぜひそうなることを、一ファンとして願っております。実現のために
は、プロレス界だけでなく格闘技界のりーダー的存在である新日本プロ
レスの、リーダーである藤波さんの影響力が欠かせませんね。



藤波 そうなのでしょうね。単に一社だけが発展すればいいという
    のではなく、ファンが見たい試合を実現させていく−―これが
    業界全体の発展のためには必要不可欠だと思っています。



――本日はどうもありがとうございました。



−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

※今日のインタビューの記事は、かなり文字数を使って、要約というよりは、ほぼ全文かな? いっきにアップしてみました。
普段、プロレスとは関係が薄い?分野の本におおきくとりあげられていて驚いたのを覚えています。

当時の、希望に燃える藤波さんの想いが、理想が、そして理想に向けての意気込みが如実に
感じられますね。この後、どういう方向にいったか、それは皆さんがよくご存知の通りと思います。

業界全体の底上げ、発展を考えていた藤波社長。いちばんの壁になったのは、・・・・・・。うううむ。

社長時代のことは、ファンとしても、もちろん藤波さんご本人も、ご家族も、ちょっと重い気分で思い出してしまうところですが
あえて、平成の最後のお正月に、アップしてみました。希望に燃えるという、そして、これからの  (cacao86 )
 2019.1.9  up

   

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